脱サラして軽貨物ドライバーになるには?元ドライバーが教える仕組みと収入の実態

「月収50万円以上可能!」「免許一枚で開業!」

軽貨物ドライバーの求人広告を見ると、魅力的な文句が踊っています。そして参入障壁が低いことから、安易な気持ちで始める人も少なくありません。

でも、ちょっと待ってください。

会社のホームページは、新規ドライバーを集めることが目的。

 都合の悪い情報は一切書かれていません。

この記事では、元ドライバーの私の経験を基に、誰も教えてくれない軽貨物配送の実態について解説します。会社を辞める前に、必ず知っておくべき重要な情報をお伝えしていきます。

会社員としての経験を活かし、新たなキャリアを築くチャンスか、それとも危険な賭けなのか。
判断の材料を提供できればと思います。

この記事を読んだからといって得はしないかもしれません。 でも、知らないままスタートすれば、必ず損をします。 軽貨物ドライバーになる前に、誰も教えてくれない業界の実態を知ってください。

【この記事でわかること】

  • 会社員との働き方の違い
  • 収入と経費の実態
  • 開業までに必要な準備
目次

そもそも軽貨物配送とは

基本的な仕組み

「そもそも軽貨物ってどんな仕事?」

軽貨物配送とは、軽自動車を使って荷物を配送する仕事です。

具体的な仕事内容は多岐にわたります:
・企業間の商品配送
・通販商品の配達
・メール便やDMの配送
・ネットスーパーの配送
・市場などから商品の配送

特徴は、主に市内や近郊エリアでの配送を行うこと。軽自動車だからこそできる小回りの利く配送が持ち味です。

基本的な仕組みはこうです:
荷主(メーカーや通販会社)から運送会社が仕事を請け負い、個人事業主のドライバーが実際の配送を担当します。

ただし実際には、運送会社→仲介会社→個人事業主という多重下請けの形態が大半です。このため、荷主から支払われる運賃の一部が、仲介手数料として差し引かれることになります。

働き方の特徴

最も重要な特徴は、個人事業主として働くという点です。会社員ではなく自分の会社を持ち、仕事は業務委託契約で請け負います。そのため、車両の維持費から保険料まで、経費は全て自己負担となります。

会社員との大きな違いを見てみましょう。

会社員の場合:
・勤務時間:8時間(残業除く)
・週5日勤務が基本
・有給休暇あり
・社会保険は会社負担

軽貨物ドライバーの場合:
・案件によって勤務時間は様々
・終日配送(8時〜配達完了)
・午前中のみの配送
・夕方からの配送
・休日:配送状況による(メンテナンスや事務作業も必要)
・保険は全額自己負担

ただし実際には、配送時間の指定や締切があるため、完全な自由裁量というわけではありません

このように、自由度が高い分、自己責任も大きくなります。

必要な条件と準備

開業時に必要な手続き

「開業の手続きは何が必要なの?」

最低限必要な手続きは以下の通りです。

【税務関係】
・開業届 → 税務署へ提出
・個人事業の開業・廃業等届出書 → 税務署へ提出
・青色申告の承認申請 → 税務署へ提出

【事業関係】
・貨物軽自動車運送事業開始届出書 → 運輸支局へ提出
・貨物保険加入
・自賠責保険/任意保険加入

【車両関係】
・軽自動車の事業用登録 → 運輸支局へ提出
・駐車場の確保と使用承諾書

車両の準備

「軽自動車なら何でもいいの?」

使用する車両は、仕事の内容によって大きく異なります。

本格的な軽貨物配送の場合、一般的なナンバーではなく、事業用の黒ナンバーが必要です。荷室の広さや、荷物を固定するための設備など、配送業務に適した車両でなければなりません。

軽貨物で使用される主な車両タイプ
軽バン:一般的な配送に最適
軽トラック:建材などの運搬に
冷蔵・冷凍車:食品配送専用
幌車:背が高く、雨に弱い荷物の配送に

※2024年10月からは5ナンバーの軽乗用車でも黒ナンバー取得が可能になりました。

一方、フードデリバリーなどの副業であれば、軽自動車なら種類を問わず利用可能です。

チルド車
軽バン
幌車

必要な資金の目安

「具体的にいくら必要なの?」

開業にかかる費用は、車両の調達方法と契約する会社によって大きく変わります。

【車両について】

  1. 購入する場合
    ・新車:100~150万円
    ・中古車:30万円程度から
  2. リースを活用する場合
    軽バンのリース契約は、通常初期費用をほとんど必要としないのが特徴です。
    ・月額:3万円程度から
    ※契約内容の確認は特に重要です

【運送会社との契約】
会社によっては加盟料が必要な場合もあります。

【その他の必要経費】
・カーナビ:3万円(スマホ代用可)
・台車:1万円程度
・事業用ナンバー:1,500円
・駐車場代:月額1万円程度

まずは複数の会社の条件を比較検討し、自分に合った開業方法を選ぶことをおすすめします。

1日の仕事の流れ

基本的なスケジュール

「実際の仕事はどんな感じなの?」

1日のスケジュールは、配送する荷物や契約内容によって変わってきます。

一般的な宅配便の場合、朝8時までに配送センターへ集合し、その日の配送物を受け取るところから始まります。その後、荷物の仕分けを行い、配送ルートを決めて実際の配送業務に入ります。

昼食を挟みながら午後の配送を行い、配送完了後は配送センターに戻って伝票整理などの事務作業。終業は早くて19時、遅いと21時以降になることも。

配送の種類と特徴

「どんな配送の仕事があるの?」

軽貨物の配送は大きく分けて以下のような種類があります:

宅配便の配送
一般的な宅配便の配送業務です。決まったエリアを担当し、一日に100-200個程度の配送を行います。

企業間配送
企業から企業への配送です。決まったルートを回ることが多く、比較的安定した仕事になります。

食品関連の配送
・幼稚園や企業への弁当配送
・市場から店舗への食材配送
冷蔵・冷凍車が必要な場合もあります。

チャーター便、スポット
その日限りの単発の仕事です。急な依頼や臨時の配送に対応します。

メール便やDM
チラシやダイレクトメールの配送。一度に大量の配送物を扱います。

休憩・休日について

「休みはどうなってるの?」

個人事業主のため、休憩や休日は基本的に自己管理です。ただし、配送量や締め切り時間との兼ね合いで、思うように休憩が取れないこともあります。

また、配送業務がある日は昼食も車内や移動中に取ることが多いのが現実です。

休日といっても、実際は車両のメンテナンスや事務作業に時間を取られます。オイル交換や洗車、経費の整理など、仕事を続けていく上で欠かせない作業が発生します。

  • 配送業務の日
  • メンテナンスの日
  • 事務作業の日

収入について、会社員との違い

「会社員の給料と比べてどうなの?」

 会社員時代の給与明細とは、計算方法が大きく異なります。

【宅配便の配送の場合】
・1個あたり:150-180円
・一日の配送数:100-200個
・月の売上目安:30-50万円

【具体的な計算例】
1日130個を月22日稼働の場合:
・1個160円 × 130個 = 20,800円
・月収:20,800円 × 22日 = 45.8万円

ただし、これは売上であって手取りではありません。

 会社員時代と違い、以下の経費は全て自己負担です

【主な経費(月額)】
・燃料代:5-10万円
・車両維持費:3-5万円
・保険料:3-4万円
・駐車場代:約1万円
・ロイヤリティ:売上の10-15%

※ロイヤリティは仲介会社によって異なります。

また重要なのが、支払いのサイクルです。多くの場合、当月の売上が入金されるのは翌月、あるいは翌々月になります。そのため、開業時は資金繰りの計画が特に重要です。

まとめ:知っておくべきポイント

軽貨物配送の仕事について、重要なポイントをまとめてみましょう。

【車両について】
・新車購入なら100-150万円
・リース活用なら初期費用5-10万円
・車両タイプは仕事内容で選択

【収入と経費】
・月の売上目安:30-50万円
・経費(燃料代、車両維持費など)
・支払いは翌月・翌々月が一般的

【仕事の特徴】
・個人事業主として働く
・配送内容は多岐にわたる
・休憩・休日は自己管理

軽貨物配送は、努力次第で安定した収入を得られる仕事です。ただし、開業時の資金計画や経費管理は特に重要です。

「ところで、求人を見ていると気になる話も…」 実は軽貨物の求人には、知っておくべき注意点もあります。契約時の落とし穴や、避けるべき事例については、次回の記事「軽貨物の業務委託、誰も教えてくれない闇の実態」で詳しくお伝えしていきます。

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